斜指症
斜指症や屈指症はまっすぐであるべき手や足の指が曲がっている病気です.横方向に曲がっているものを斜指症といいます.斜指症には先天性のものと後天性のものとがあります.後天性には外傷の後や骨関節感染症の後に生じます.骨折後に曲がった状態で骨が癒合してしまったという単純で理解しやすい場合もありますが,小児では成長軟骨が損傷を受けて成長にアンバランスが生じた結果,徐々に曲がってくる場合もあります.いずれも治療可能です.先天性のものも成長軟骨に原因があるものと,そうでないものがあります.
手で最も多いのは小指の斜指症です,足では第4趾が好発部位です.純粋に横方向に曲がっているだけではなく,縦方向にも曲がっていたり,指が短かったりすることが多いです.遺伝することがある病気ですので,ご両親自身の指をもう一度ご覧になると,少し曲がっていたり,若干短かったりしていることに気づくかもしれません.
治療は基本的には手術となります.わずかに曲がっている斜指症は機能的には問題ありませんので,美容的に我慢できるのであれば治療の必要はありません.ご両親自身が同様の状態であれば,生活に困らないということは納得できると思います.手術治療は難しくはありませんが,小さな指に対する手術は不正確になりやすく変形が残りやすいです.また一旦まっすぐになっても再発することもありますので,一般的にはあまり小さな年齢での手術はお勧めしません.ただ早期に手術をすると自然矯正が働いて指の長さも回復する場合もありますので,どういう状態の斜指症かをきっちり診てもらうことは大切です.
指が短いことに対して骨延長術が行われることもありますが,通常これは小学校高学年以降に適応があります.治療としては難しい部類に入りますし,長期間にわたって骨延長器を指につけておかなければならないので不便な期間が数ヶ月続くことを覚悟する必要があります.骨延長の詳細についてはここでは記載しませんが,概略は私が以前,母子センターのwebサイトに記載した文章をご参照下さい.