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短合指症

短合指症は手指が短縮して皮膚性合指を呈するものから上腕の先天性切断まで広い範囲を含む疾患です.3万人に1人発生するともいわれていますが,わが国での正確な発生頻度はわかっていません.私自身が個人的に150人以上は診ていますので,実際の発生頻度はより高いと想像されます.示指中指環指がより障害を強く受け,母指小指の罹患は比較的少ないです.ほとんど例外なく片側性であり,同側の大胸筋欠損を伴うことがあります.短合指症と大胸筋欠損の合併例はPoland症候群と言われ,この二つの先天異常に共通の発生原因が示唆されています.


短合指症の軽症例は手がやや小さく,よく見ると指が少しくっついたように見えます.程度が進むと何本かの指が欠損しますが,生まれてから進行して重症化するという意味ではありません.生まれたときにその程度は決定されているのです.小さな手も成長するので心配はありません.反対側と同じ比率で大きくなると言われています.生まれたときに反対側の7割の大きさだったら大人になってもやはり7割の大きさまで成長すると言うことです.より重症の場合は先天性欠損といわれる状態になり,小さな豆状の指を残して手が切断されたような状態になります.


軽症例では「合指症」と同じ治療を行います.重症例では手でものを持ったり,つまみ上げたりできるようにさまざまな方法で機能再建を行います.残念ながら今の科学では指をきれいに作ったり,手の大きさを全体に大きくすることは困難です.手関節より近位で切断されている場合は筋電義手などを検討しますが,専門的なリハビリテーションが必要なことや高価なものであるにもかかわらず成長するに従って作り直す必要があることから,わが国ではまだ広くは普及していません.

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